高さ30〜40cmで、山地のやや湿った林内に生える多年草です。 多数の花を総状につけます。 2007年に群馬県は野反湖の友人、中村一雄さんの案内で初めてみることができました。 北海道から九州までと分布域は広いようですが、私たちは野反湖以外ではあまりお目にかかっていません(と言いながら上の写真は菅平高原で撮影したものですが)。 花期は5-6月。
花は、茎の下から上に開花していきます。
小さいですが、とても美しい花だと思います。 萼片と側花弁は黄褐色、披針形で長さ8〜10mm。 唇弁は白く、基部で3裂します。 側裂片は披針形で鈍頭、目立ちませんが花の美しさには一役買っていると思います。 中裂片は一番目立ち、長さ5〜6mmで、先端がフリルのように美しく波打っています。 前部を中心に赤紫色の斑点があります。 また基部には2個の隆起線があります。
側花弁にも赤紫色の細い条が入ります。 蕊柱は長さ約6mmで、先端にある花粉塊は淡い黄色です。 上の花では花粉塊はまだ成熟していないようです。
コケイランの花の横顔です。 一番見頃の時期だったと思います。
コケイランには、赤紫色の斑点がまったく無いタイプもあります。 唇弁も側花弁にも斑点が無く、とてもスッキリした印象です。 野反湖では、斑点有り・無しのタイプの株が近くで混生していました。 一つの株に異なる花をつけることはなく、株ごとに花のタイプが決まっているようでした。
蜜を求めて、虫が訪れていました。 蕊柱先端の淡黄色の花粉
塊(4個)は、十分成熟しているように見えます。 ラン科の花粉
は非常に小さく、微細な粉のようです。 それが数千から1万個
以上で塊を作ったものが、花粉塊です。 大量の花粉を効率良く
運んでもらうための戦略なのでしょう。 この後、この虫の背中
にくっつくかな?
少しわかりにくいですが、コケイランは花柄子房が
180°ねじれて唇弁が下側につく、「標準タイプ」です。
葉は2個つけます。 披針形で長さ20〜30cm、幅1〜3cmで鋭頭。 縦じわがあります。 小蕙蘭の「蕙」はシランの仲間を指し、葉がシランに似て花が小さいことが名の由来のようです。 別名に「ササエビネ」がありますが、これも葉がちょっと似ているからですかね?(エビネの葉の方がずっと大きいですが)。 葉の様子がわかる良い写真がありませんでした。 無いよりマシと思い、上の写真を掲載します。
2012.11.20 掲載
あひる (水曜日, 21 11月 2012 08:54)
最初見たとき、栄養状態の悪い(ゴメンナサイ)エビネって思いました。ササエビネって名前もあるんですね。
お花、アップで見るとフリルがあるけどキリッとして、キレイですね!
花柄子房の捻れ、(↑で分かりやすいです<(_ _)>)
180°捻じれているということは、もし捻じれていないと、お花が逆さまになるという事なのでしょうか?
わざわざ捻じれているのは不思議ですね。
hanasanpo (水曜日, 21 11月 2012 22:27)
確かに離れて見ると、少し痩せたエビネのようにも見えますね〜
そうです、もし花柄子房がねじれていないと、花は逆さまになります!
でもそれがラン科の植物が生まれたときの本来の姿ではないかと思っています。だって、わざわざ捻って花を逆さまにするなんて、おかしくないですか? 頑張って捻って、逆さまにしなければならなかった理由があるはずです。 このナゾが知りたくて仕方ありません!
今後掲載のラン科の花も、この点について言及していく予定です。
MAX (水曜日, 27 8月 2014 07:19)
開花時は葉が無い、不思議なランです。ラン科植物は休眠期に開花する事からすれば、不思議でないのかも?
今春、林道工事で三本救出しました。花は終わっており実が3個位付いた状態で、葉は認められませんでした。
野生時の環境を維持するため、鉢植えにし、水苔で覆い、日に二回散水してます。
8月末現在、新芽が10-20cm位出て来ました。実は根元か寒天培地に播種して、上手く行けば2年で山に返せると思います。
MAX
hanasanpo (水曜日, 27 8月 2014 20:58)
3株が林道工事の犠牲にならなくて、よかったですね!
大竹憲夫 (日曜日, 11 8月 2019 11:55)
最近スマホに 山野草をいろいろ見せて貰ってます。ありがとう�
HiroKen (日曜日, 11 8月 2019 12:07)
大竹さん、コメントをありがとうございます。少しでもお役に立てれば嬉しいです。