クモイジガバチ
雲居似我蜂 ラン科 クモキリソウ属
Liparis truncata F.Maek. ex T.Hashim.
日本固有種 絶滅危惧1A類 (Critically Endangered)
ミズナラやブナなどの落葉樹の古木の樹幹や枝に着生する、多年性のランです。 分布は東北地方から九州と意外に広いのですが(*1)、自生地は極めて局所的で、数も非常に少なく、環境省が絶滅危惧種1A類 --- ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い、危機的絶滅危惧種 --- に指定しています。 花期は6〜7月。
和名の「雲居」には、雲のたなびいている所、大空、高く遠く離れた所 などの意味があります。 「似我蜂」は、狩りをし、地中に穴を掘る習性のあるハチの一種です。 つまり雲居似我蜂とは、「高い樹上に生える、似我蜂に似たラン」に由来します(*4)。
草丈は5〜10cmと、小型です。 葉は2個で卵形、葉面に縦じわがあり、光沢があります。 葉の縁は全縁ですが、波打ちますが、地域差・個体差があるようです。
全体の雰囲気はジガバチソウに似ますが、細部は異なります。 ジガバチソウの唇弁は、基部から1/3ほどで急に屈曲して先は下垂し、先端は尾状になり、やや尖ります。 本種の唇弁は、緩やかに曲がり、先は短く外側に巻いて、切形になります。 唇弁に縦方向に走る、赤紫色の脈が目立つ点でも、ジガバチソウとは異なります(*2〜*5)。
ここまでご覧いただき、「なんだか同じような写真ばかりだな」と思われた方も多いと思います。 もっと多様な写真を掲載したかったのは山々ですが、高い木に着生しており、多数撮影したのですが、私たちの装備(カメラ・レンズなど)では、これが限界でした。 掲載した写真も、とんでもないトリミングと、それに伴う画質劣化を誤魔化す(?)ために、輪郭強調やノイズリダクションをたっぷりかけています。 もっと近くで見て、詳細を撮影したいものですが、それはなかなか叶いそうにありません。
樹上の高い場所に着生することが多く、発見されにくい植物でもあるようです。 このため、日本のランを200種、300種と数多く見てこられた、この道何十年の花の大先輩諸氏の中にも、この花は見たことがないという方が、少なからずいらっしゃるようです。
このような超希少種なので、自分たちは、おそらく一生見ることができないであろうと思っていました。 しかしある方からヒントをいただくことができ、探し回った結果、見つけることができたのです。 ヒントを下さった方は、私たちが見つけられるとは思われていなかったかも知れませんが、どうやら幸運の女神様が、私たちに微笑んでくれたようです。
< 引用・参考文献・外部サイト >
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*1 日本のレッドデータ検索システム http://jpnrdb.com/
クモイジガバチ http://jpnrdb.com/search.php?mode=map&q=06050316557
*2 野の花賛花 http://hanamist.sakura.ne.jp/index.html
クモイジガバチ http://hanamist.sakura.ne.jp/flower/tansiyo/ran/kumoijiga.html
*3 山散歩 花散歩 徒然想 http://www.yam1.thyme.jp/toppage/index.html
クモイジガバチ https://gkzplant.sakura.ne.jp/souhon2/shousai2/ka-gyou/ku/kumoijigabati/kumoijigabati.html
*4 GKZ植物辞典 https://gkzplant.sakura.ne.jp/
http://gkzplant2.ec-net.jp/souhon/syousai/ka-gyou/ku/kumoijigabati/kumoijigabati.html
*5 日本の野生ラン 主婦と生活社 1996年 43刷 発行 p.58
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2017.10.17 掲載
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