常緑樹林内の樹木の枝や幹に着生する、常緑の多年草です。
本州岩手県以南と四国、九州に分布し、花期は4〜5月。
いろいろな場所で目にするので、比較的簡単に見ることが
できる野生ランの部類に入ると思います。 しかし高所にい
ることが多く、間近ではなかなか花を見ることができません。
花期は3-5月。
Dairy−Hiroダスにもしばしば登場したこの株が、初めて見つけたカヤランです。 高尾山山麓の遊歩道近くにいたのを偶然見つけたものです。 古い梅の木についていて、なんと腰の高さにいました。 見つけたときは本当にうれしかったのを覚えています。
葉は10〜20個が左右2列に互生します。 名の由来はこの葉が樹木のカヤの葉に似ているからだそうです。確かにカヤの葉を思い起こさせる形だと思います。
カヤランの根は茎の中部以下から出て、着生した木の樹皮を這います。 近づいて見るとなかなか迫力があります。 カヤランの必死さと逞しさを感じました。 花芽は、美しい緑色をしています。
こんな観察に適した場所にいてくれたのに、その後何度も足を運びましたがことごとく花期を外してしまい、結局フレッシュな花を見ることができませんでした。
この株を「カヤちゃん」と呼んで、いつかは美しい花を見ることができるだろうと毎年楽しみにしていたのですが... なんと盗まれてなくなってしまったのです。 根まできれいになくなっていたので、きっとピンセットのような道具を使って剥がして持ち去ったのでしょう。 本当に怒りを覚えました。
もういなくなってしまったので、場所を公開してもよいでしょう。 左の写真ではHiroがしゃがんでカヤちゃんを撮影しています。 上に見える奇妙な建造物は、建設中の圏央道です。 2010.03.22の状態です。 これが伸びて、神山でもある高尾山の土手っ腹を貫くトンネルにつながります。 最近この界隈を訪れたことがある方なら「ああ、あの辺ね」とおわかりになるでしょうね。
それはともかくとして、右の写真のように、今年(2012年)の3月10日に訪れた時は、カヤちゃんは跡形もなくなっていました。(持っていくなよ!!)
花ママ・花パパさんご夫妻に案内していただいた福島県の
浜通りのある渓谷では、木の幹の腰から胸の高さにこんなに
たくさんついていました。 緑色をした花芽は膨らみ始めて
いましたが、開花にはまだ間があるようでした。 白っぽい
気根を長く張り巡らせています。 すぐ近くの木には、同じ
ようにヨウラクランがついていました。
Hiroの実家のある栃木県足利市の山中を車で通行中、「この辺カヤちゃんがいそうな雰囲気だよね」と感じ、路肩に車を停めてみると、すぐ近くの数本の木にカヤちゃんがついていました。 我ながら勘が冴えていると思いました! カヤランは、案外身近で見ることができるランであると思いました。
左は高さ10mほどのところについていました。 望遠レンズで撮影し更にトリミングしてあります。 葉の縁は少し薄いのでしょうか、逆光で見ると白っぽく見えます。
右も同様な高さにいたと思います。 ついていた枝が朽ちてしまい、カヤラン自身の根だけでぶら下がっているように見えます。 それでもちゃんと花を咲かせていました。 思わず「ガンバレ!」と言いたくなりました。
茨城県の筑波山にヤマトグサを観察に行った帰り道、山麓の神社に御神木?なのか、古い巨木がたくさんありました。 シノブちゃん(ノキシノブ)などがたくさんついているので、「カヤちゃんもいるんじゃないの〜?」と上を見ながら探っていたら、いるわいるわ、わんさかついてる! しかもベストな開花状態!
しかし、高い、遠い! 少なくとも20mはあったような。 上の4枚のうち左上は一眼に70mmのレンズで撮影(トリミングなし)。 あーこれじゃお話にならないと、コンデジにテレコンレンズをつけて900mm相当で撮影したのが以後の写真。 三脚を持たなかったのでブレまくりです(お許しを)。 こんないい状態、近くで見たかったな〜 素晴らしかったろうな〜 でもハシゴ車でも持って来ない限りムリですね。
さてカヤランの子房のねじれと唇弁の位置関係ですが、どうも子房にはねじれは無いようです。 よって、「ストレート・タイプ」。 しかし、唇弁の位置は? 上の写真では、唇弁の位置が下側・上側両方あり、判別できませんでした。 仕方なくネットで他の方の写真も参考にさせていただきましたが、下側になることが多そうですが上側も少なからずいて、どうもはっきりしない。 かといってツチアケビのように四方八方好き勝手な向きになる「唇弁位置無頓着タイプ」でもなさそうです。 これは迷います。 仕方がなく、とりあえず「ストレート・唇弁位置不明」とします。
2012.11.11 掲載
あひる (月曜日, 12 11月 2012 01:36)
こんばんは。
カラヤン? 今回はクラシックの話題?
と思ったら、カヤランでした ^m^
「ここに、カヤランがいたのに」という黄色い文字が痛々しいです(T_T)
ぜひとも、理科の時間に、自然保護の大切さの授業を入れてほしいですね!
可憐な白いお花。盗られなければ、もっと手の届く所にもあるかもしれませんね。
hanasanpo (月曜日, 12 11月 2012 08:07)
あひるさん、お早うございま〜す!
カヤランはカラヤンと間違えやすいですよね。特にクラシックを親しむ方はそうかも、ですね。
野山の植物を取ってきて庭に植えたり木に付けてみたりという行為は、そろそろ考え直して欲しいのもです。どこにでもどっさりいる植物なら影響はないのでしょうが... その辺の線引が難しいですね。
自然の花 (月曜日, 02 5月 2016 19:29)
我が家にカヤの木が二本並んでいる なんとカヤランが
いっぱい咲いていて 山奥でなくこんな所に ビックリ !
HiroKen (月曜日, 02 5月 2016 20:58)
カヤの木にカヤランがついているなんて、すご~い!!
それは非常に珍しく、かつ、素晴らしい光景ですね!
見てみたいなあ。
お時間がありましたら、ぜひ画像掲示板にご投稿をお願いいたします。
自然の花 (月曜日, 02 5月 2016)
父が庭園を35年前に作って
ちっと離れた所に二本カヤの木があるがそれは、花は、咲いていません。
咲いているカヤは、足元から沢山花が咲き木の上の方まであります。何年前から咲いていたかもしれません。
自然の花 (月曜日, 02 5月 2016 21:56)
後で画像送ります。
HiroKen (火曜日, 03 5月 2016 09:35)
カヤランは普通木の高いところにつくのに、足元から上の方まで咲いているなんて、
スゴ〜イ! 画像お待ちしてます。
HiroKen (水曜日, 04 5月 2016 10:44)
自然の花さん、画像掲示板にご投稿をありがとうございました。
カヤの木に着生したカヤラン、本当に奇跡のカヤランですね!
木曽越峠の仙人 (水曜日, 08 5月 2019 20:57)
(水曜日、08 5月 2019 20:40)
今日、下呂市の雨情公園で綺麗なカヤランの花をを見ました
目の高さより少し上に咲いていたのでバッチリ撮れました
Ken (水曜日, 08 5月 2019 21:31)
木曽越峠の仙人さん、コメントをありがとうございます。
カヤちゃんは、目の高さより少し上に咲いていてくれるのが、ベストですね! 低い位置だと撮影が厳しいし、高い場所だと見えない。 近くで見ることができると、優しい色合いの可愛い花であることが、よくわかりますよね。
涼樹 (金曜日, 20 9月 2019 13:17)
今年の8月に地元の山中でカヤランに出会いました。枝折れして路上に落ちていたので、何だろう?と写真撮影して、分かる方に調べて頂いたら、カヤランと判明。栽培は難しいと聞きました。こんなに綺麗な花が咲くとは知らず、葉と気根のみ見ました。いつか見てみたいですね。
Ken (金曜日, 20 9月 2019 20:53)
強風が吹いた翌日など、折れて落ちた枝についているのを見つけることがあります。8月では花はないですが、「何だろう?」と興味を持たれたのは流石ですね。 特徴がある葉なので、一度わかってしまえば、後は見つけやすくなると思います。 可愛い花なので、来年の春は、ぜひ花を探してみて下さい。
涼樹 (日曜日, 22 9月 2019 20:38)
山野草には、父の影響で子供の頃から馴染みが有りましたが、カヤランとは初遭遇で、嬉しかったです。香りが有りそうな花ですが、確認出来る位置には咲いてくれないのもミステリアスで良いですね。来春にまた会いに行きたいです。
教えて頂いてありがとうございます。
Ken (月曜日, 23 9月 2019 10:18)
カヤランの香りは嗅いだことがありませんが、興味が湧いてきました。なかなか機会はないと思いますが、もし顔を近づけられる場所で見つけたら、ぜひ確かめてみたいと思います。来春の楽しみができました。
ゴンダまま (火曜日, 12 5月 2020 21:21)
今晩は。我が家の庭の松に沢山自生しているのを見つけ、名前を調べているときにこのページにたどり着きました。
松の木に影響はないのか義母が心配しています。
Ken (水曜日, 13 5月 2020 07:37)
お庭の松の木についているとは、なんとも素晴らしく、羨ましいことですね! 沢山ついているということは、居心地が良いのでしょう。 カヤランは場所を間借りしているだけで、松の木に対しては何も悪さをしません。 どうか大切にして上げて下さい。
ゆり (日曜日, 24 5月 2020 09:07)
2年前にツツジに着生しているのを見つけました。
50cm位の低い所で、これもまた、見るのが大変ですが、今年も咲いてくれました!!
Ken (日曜日, 24 5月 2020 11:40)
ご報告をありがとうございます。 ツツジのような低木に着生していることも、その高さが50cm位であるということも、非常に驚きです! そのような場所で花を咲かせるカヤランは、とっても珍しいと思います。 意外と適応能力が高い着生ランなのかも知れませんね。 頑張って長生きしてほしいですね。
ゆり (日曜日, 24 5月 2020 11:47)
ありがとうございます。
頑張って、見守っていきたいと思います。