静岡県の花友さんから情報をいただいたおかげで、探し回ることなく初対面を果たすことができました。 ニョッキリ生えている姿を初めて目にしたときは、「あっ、デカい!」と思いました。 見慣れたナンバンギセルと較べると、確かに大きく感じたのです。
本州〜九州の山地に生える、一年草の寄生植物です。 ススキやノガリヤスなどのイネ科の植物の根に寄生します。 自らは葉緑体を持たず、光合成を行わない全寄生植物です。 根の一部の寄生根とよばれる特殊な根を宿主の根に結合させ、養分を奪って生活しています。 ナンバンギセルが平地で見られるのに対し、やや標高が高い場所に生えます。 ここではススキに寄生していました。
ナンバンギセルの名は、細長い花柄の先につく花の形が煙管に似ていることに由来しますが、本種はやや大型であることから、オオナンバンギセルとなっています。 茎に見えるのは花柄で、長さは20〜30cm。 茎は短く、ほとんど地上に出ません。
オオナンバンギセルの萼の長さは3〜5cmで、先端は鈍頭です。 花冠は長さ4〜6cm、紅紫色で、裂片の先は反り返り、縁に細かな鋸歯があることが特徴です。 比較のため下にナンバンギセルの花を載せました。 萼の色や先端の形状、花冠裂片の鋸歯の有無など、両者を見分ける識別ポイントはわかり易く、見誤ることはないでしょう。
上はナンバンギセルの花の側面です(注意:倍率が異なるので、大きさの比較はできません)。 萼の長さは1.5〜3.0cmで、先端は鋭頭です。 萼の色は淡黄色の中に紫褐色の条が不規則に入ります。 花冠は長さ3〜5cm、淡紅紫色で、裂片は反り返らないか、わずかに反り返り、縁は全縁です。
オオナンバンギセルの花の正面です。 このような色・形のものが
多かったです。 なかなか美しい花です。 花冠の奥の方の白っぽく
丸みを帯びたものは、雌しべの柱頭です。
素晴らしく色の濃い個体もありました。 花冠裂片の反り返
方もエレガントです。 この個体は裂片の鋸歯が目立ちません。
花冠が取れてしまった個体がありました。 雌しべの先の柱頭がやけに大きい。
遠目に白花に見えたので斜面をエッサホイサと登って近づいたら、ただの花が終わって花冠が取れた株でした。
萼の先端が痛み始めているのにまだ開花していない花。 ノッペラボウです。
2015.01.08 掲載
2016.01.16 文を追加
ゆき (火曜日, 12 5月 2015 06:45)
おはようございます.HIROさんKenさん、早速、オオナンバンキセル、見ちゃいました、写真からも、伺える、エレガントさ、色合いが、いいですね。ベルベットなドレスのような。そして、ピーナッツソフト、いただいて、みますね。店員さんの無愛想は、いただけませんね。接客つかれかな?(笑)
Hiro (火曜日, 12 5月 2015 10:45)
ゆきさん
何とも言えぬエレガントさがあるますよね!
ナンバンギセルよりも女性らしい花という雰囲気です。
初めて目にした時に「美しい!」と叫んでしまいました。
小林二茶 (金曜日, 05 8月 2016 22:59)
信州の花キチで俳句が苦手なコバヤシ二茶と申します
HiroKen (土曜日, 06 8月 2016 08:31)
小林さん、こんにちは。いつも当サイトをご訪問いただき、ありがとうございます。
万葉集好き (金曜日, 02 10月 2020 18:56)
初コメントです。
>道の辺の尾花が下の思ひ草 今さらさらに何をか思はむ
万葉集に1首しかよまれていないのが不思議なくらいきれいな花ですね。尾花=ススキということは、やはりナンバンギセルが有力だと思います。まだ野生の花を見れていないので、がんばって見つけ出そうと思います。(盗掘なんて、しませんよ!!)
Ken (土曜日, 03 10月 2020 23:57)
万葉集好き様
コメントをありがとうございます。やはりナンバンギセルかオオナンバンギセルを指していいるのでしょうね。ぜひ野生の花を見つけてくださいね。