日当たりのよい、岩の崖に生えていました。 地味な花の部類に
入りそうです。 花に興味がある人でも見過ごしてしまうかも知れ
ません。 控えめで謙虚な花ですが、優しい印象も受けました。
数を減らしており、環境省のレッドリストでは、絶滅危惧ll類
(絶滅の危機が増大している種)に指定されています。 見たくて
も簡単に見ることができない植物です。
本州(関東地方以西)〜沖縄に分布します。 ここ群馬県南西部
が分布の北限になるようです。 地元の方によると、ここでは7〜9
月を除き枯れずにいて、真冬の1月でも花をつけるそうで、これは
驚きです。
名の由来は伊豆地方で多く見られたからだそうですが、現在では
伊豆で見つけるのは難しくなったと聞きました。
イズハハコ属では唯一の国産種となります。 同じ属には南米原産のアレチノギクやオオアレチノギクがいます。 これら外来種が勢力を拡大し続け問題となっているのに対し、本種は数を減らし続けています。
ワタナという別名を持ちます。 由来は花後の白い冠毛が綿毛のように見えるからです。 また地方によっては、イズホウコとも呼ばれているようです。 ホウコはハハコが訛ったものでしょうか?
地味と思える多くの花がそうであるように... 近づいてよーく見ると、ほら、こんなにかわいい花です。 開花前のように見えますが、これで開花している状態です。 舌状花は発達せず、筒状花だけの花に見えます。
ややクリーム色がかった、白色の冠毛。
これが別名のワタナの由来ですね。
茎全体に白色の軟毛が生えます。
茎の上部は、緑色をしています。
花の期間もロゼット場の根生葉は残ります。
岩の窪みに溜まった僅かな土に根を張って
いました。
茎葉は、茎の太さの半分〜茎の太さ分まで、
茎を抱きます。 根元付近の茎は暗紫色で、
上部に向かうにつれ緑色になっていきます。
下部の茎は色が濃いので白毛が目立ちます。
根生葉の裏側は脈が目立ちます。
枯れた葉は昨年のものでしょう。
開花していたのは1株だけでしたが、根生葉はいくつもありました。
最後の写真は少し離れた自生地のものです。 花は終わって
いました。 根生葉は多数見られました。 先の場所と同じよ
うに崖でしたが、岩ではなく土でした。 このことから地面が
岩か土かはあまり問題ではなく、「日当たりのよい崖」が自生
する場所のポイントのようです。
イズハハコ
日当たりのよい崖に生える1年草または越年草。高さ20~60cmの茎頂に筒状花のみの花を密生させる。全体に白い軟毛が多い。根生葉はロゼット状で花期にも残る。その他分布域などは本文参照。
2011.12.05 掲載
イズハハコが掲載されたページ
Dairy-Hiroダス