イヌノフグリ

 

犬の陰嚢 オオバコ科 クワガタソウ属

Veronica polita subsp. lilacina

絶滅危惧ll類 (Vulnerable)

 イヌノフグリ (犬の陰嚢) オオバコ科 クワガタソウ属  2012.02.26 埼玉県秩父市
 イヌノフグリ (犬の陰嚢) オオバコ科 クワガタソウ属  2012.02.26 埼玉県秩父市

 

 マルミノウルシを観察した日、イヌノフグリも見ることできました。 近縁種のヨーロッパ原産のオオイヌノフグリは、開花時期の3〜5月には「見ない方が難しい」ほど多くの場所で見ることができます。 しかし在来種であるイヌノフグリはとても数を減らしており、なかなか出会う機会に恵まれませんでした。 それが、今回初めて見ることができたのです。(イヌノフグリも史前帰化植物であるという説もあります)

 

イヌノフグリ
 イヌノフグリ

 

 自生地を訪れたのは昼頃であったのですが... この日は寒い曇り空で、花はほとんど開いていませんでした。 少し時間が早すぎたようです。 それでも30分ほど粘っていると、数個の花が開き始めました。

 

イヌノフグリ
 イヌノフグリ

 

 花は、小さいです。 この日完全に開ききった花は

見ることができませんでしたが、それを考慮しても小

さい。 完全に開いたとしても、直径2〜3mmほどと

思います。 オオイヌノフグリの花は直径8〜10mm

あるので、その1/3〜1/4ほどの大きさです。 注意

深く見ないと見逃します。

 

 花は淡いピンク色に紅紫色の筋が入るようですが、

今回の見た花にはあまり目立った筋は見えませんでし

た。 (見た数も少なかったし)


イヌノフグリ
 イヌノフグリ

 

 時期が早かったのか、果実を見ることはできません

した。 果実は通常2つが合わさった形になっていて、

和名「犬の陰嚢」の由来になっています。 果実もぜひ

いつか見たいと思います。

 

 

イヌノフグリ

 

土手や道ばた、田の畦や石垣などに生える越年草。 茎は下部で枝分かれして広がる。 葉は卵円形、オオイヌノフグリの半分ほどの大きさで、長さ・幅とも4〜11mm、4〜8個の鋸歯がある。 上部の葉腋から長さ約1cmの花柄を出し、小さな花を1個つける。 蒴果はやや平たい球形で中央がくびれる。 その形を犬のふぐり(陰嚢)に見立ててイヌノフグリの名がついた。 しばしばオオイヌノフグリと競合し、駆逐されてしまう。 遷移の進行と道路工事が主たる減少の原因となっている。 本州、四国、九州、沖縄に分布。 花期は3〜4月。 旧来の分類体系ではゴマノハグサ科に分類されていた。

 

 

2012.03.06 掲載

2016.06.05 科名に関する記述を追加

 

イヌノフグリ 2013.02.24  埼玉県秩父市
 2013.02.24  埼玉県秩父市

 

昼をだいぶ過ぎて日が影ってしまい、花が閉じ気味でした。

 

イヌノフグリ 2013.02.24  埼玉県秩父市
 2013.02.24  埼玉県秩父市

 

1円玉の直径は2cm。 この花の小ささが伝わるかな・・・

 

2013.03.01 写真追加

 

コメント: 12 (ディスカッションは終了しました。)
  • #1

    本多 茂 (木曜日, 03 3月 2016 18:10)

    はじめまして  杉並区の和田堀公園というとことで、おそらくイヌノフグリと思われる植物が 郡生してました。オオイヌノフグリの花と違い 花は、3ミリと小さく花の色は、薄いピンクかかった色でした。茎や葉に 細毛がめだちました。葉の裏は、やや紅色がめだちました。 ありがとうございました。

  • #2

    HiroKenのKen (木曜日, 03 3月 2016 20:54)

    情報をありがとうございます。 都市部にもいるのですねえ! 群生しているとは、大変貴重な場所だと思います。 このページの花は、秩父市まで出向いてようやく見ることができたものですが、杉並区にいるのならずっと近いので、ぜひ見に行きたいです。

  • #3

    マケイヌノフグリ (水曜日, 09 3月 2016 13:26)

    23区内でイヌノフグリに似た小さな花を付け、茎や葉に細毛が目立っているとすれば、最近都内でも爆発的に増えているフラサバソウの可能性が大です。群生しているというのもフラサバソウの特徴です。

  • #4

    HiroKenのKen (水曜日, 09 3月 2016 20:46)

    マケイヌノフグリさん、貴重なコメントをありがとうございます。 イヌノフグリであってほしいですが、どうも外来種である可能性もありますね! でも発見された方は薄いピンク色がかっていた、とおっしゃっているので、やはり現物を観察してみないとわかりせんね。 他にも都立公園で咲いているという情報も得ており、できれば観察に行きたいところです。

  • #5

    ゆき (土曜日, 22 4月 2017 22:34)

    こんばんは、hiroさんKenさん、イヌノフグリの写真ありがとうございます‼とっても、小さくて、愛らしい姿ですね、サクラ色の淡いピンク色の花びらと手のひらの、ような、かわいい葉、オオイヌノフグリと対象的、ブルーの花びら。春のスミレやコケリンドウやふでりんどうも、いいものですね。

  • #6

    Ken (日曜日, 23 4月 2017 22:36)

    ゆきさん、こんばんは~
    イヌノフグリ、本当に小さいんですよ! すぐ足元にあっても、「ほら、ココ!」と指差してもらわないと気づかないくらい小さいんです。 でも多くの小さい花がそうであるように、近づいてじっくり見ると、とてもかわいい花なのです。
    スミレの同定は大の苦手なのですが、今年はなぜかスミレづいています。コケリンドウやフデリンドウのブルーも、何度見てもいいですよね〜!

  • #7

    マンゴーまま (日曜日, 14 4月 2019 18:54)

    新しく小学校4年生になった娘から、「イヌノフグリ」ってどんな花?
    と聞かれ、さっそく検索❗
    国語の教科書に載っている、詩の一節に出て来て。
    とても素敵な、可愛い花ですね�

  • #8

    Ken (日曜日, 14 4月 2019 20:04)

    マンゴーままさん、いらっしゃいませ。当サイトの多くのページは、小学生位のお子様も読まれるであろうことを頭の片隅に置いて作成しています。 イヌノフグリはとても小さくて可愛い花なのですが、残念ながら数が少なく、見つけることはとても難しいです。 でもこんな植物もいるんだねと娘さんが知ってくれただけでも嬉しいです。

  • #9

    小桧山 みのり (火曜日, 21 4月 2020 20:56)

    はじめて見た時、見えなくて友達に、犬のフク''リだ!と、言われても分かりませんでした。

  • #10

    Ken (火曜日, 21 4月 2020 21:17)

    この植物は小さいですからね〜。「ココに咲いてるでしょ、ココ!」と指で指して言われてもまだわからないほどですよね。 とても小さい花ですが、同時にとても美しい花でもありますよ。

  • #11

    八ヶ岳の野人 (火曜日, 28 4月 2020 11:17)

    又吉さんのヘウレーカでイヌノフグリを知り、さっそく庭を探したら、普段踏みつけていたところにいっぱいありました。我が家はまさにオオイヌノフグリが侵食している最前線!花色が薄いピンクと青が一つの株にミックスしているものもあるのですが、変異しているのかなー?

  • #12

    Ken (火曜日, 28 4月 2020 12:06)

    又吉さんのヘウレーカが放送されたときは当ページへのアクセスが激増し、大変驚きました。TVの影響力はすこいものがあります。
    お庭にオオイヌノフグリがたくさん生えるなんて、よい環境なのですね。この植物は完全に日本の自然に溶け込んで、もはや原風景の一部になった感があります。
    花色の変化は、変異というほどのものではなく「個性」の範囲ではないかと推測します。