山地の林下に生える、高さ30〜60cmの多年草です。 本州の千葉県〜近畿地方南部の太平洋側と、四国に分布します。 花期は9〜11月。
イズコゴメグサ、ソナレマツムシソウにアシタカマツムシソウと、目的の花を見ることができたこの日、最後の目的の花、テイショウソウも見ることができました(けっこう探しまわった末ですが)。 数年前の別の時期に花友さんたちと訪れた際に、「ここにテイショウソウが咲くんだよ」と教わっていたのです。 いくつものお初の花に出会える花さんぽは、本当に楽しい。
まず花つきの良さに驚きました。 図鑑の写真で見たよりずっと多く、ワサワサと重なり合うようについています。 花の大きさも、モミジハグマ属の中では大きい方だと感じました。 薄暗い林下で白い花が映えます。 見応えのある花でした。
西日が少し差し込むような北側の緩斜面に、見事な群落がありました。
「禎祥草」の名の由来はよくわかりませんでしたが、「禎」の字を調べると「幸せや吉祥を意味する漢字」とありました。 また「祥」の字も「幸い、予兆、吉兆」という意味があります。 幸せを意味する漢字をダブルで使った、なんとも縁起のよい名前であるには違いありませんね。 縁起のよい名前といえば、キチジョウソウがありますね。 キジカクシ科なので関係はないですが。
花茎は枝分かれせず、褐紫色〜緑色で、直立します。 上部に総状花序を形成します。 頭花は10個以上で、上の写真の個体の頭花を数えてみたら、23個ありました。 図鑑の写真では、5〜6個しか開花した花がなかったのに対して、あまりにもにぎやかなので驚きました。
1個の頭花は、3個の小花から成っています。 小花は1個の雌しべを持つので、一つの頭花には3個の雌しべがあります。 上の写真の左下の頭花では、3個の雌しべが直線的に長く伸びている様子がよくわかります。
花冠の長さは1.5〜1.9cmで、細長く裂けます。 避けた裂片がエレガントな曲線を描き、優美で美しい。 一つの小花には5個の裂片があるので、一つの頭花で15個の裂片があることになります。 頭花が20個あれば、300個の裂片! これがにぎやかな印象の理由かなと思いました。
真上から見るとこんな感じです。 花はやや偏った方向に咲いていますね。 総苞は筒状で長さ11〜14mm。 花柄は2〜3mmで、長さ1mmの三角状の苞が多数つきます。
葉は茎の下部に4〜8個集まってつき、柄があります。 葉は
卵状ほこ形で、大きなものは長さ16cmほどにもなるそうな。
古い葉は大きく、長い柄があり長卵形、縁には波状の鋸歯があります。 また、濃緑色の中に淡緑色の模様があるのが特徴です(左上)。 若葉は小型で柄も短く、卵形で鋸歯も浅く、全体に緑色でした(右上)。
古い葉の裏面は、表面の濃緑色の部分が紫色を帯びています。
こんなところにも咲いていた。 これはこれで風情があるかな?
2015.01.29 掲載
いつも初心 (土曜日, 24 12月 2016 07:28)
14年の記録に対し今頃コメントして申し訳ありません。
というのは僕自身がやっと山野草の観察に入門出来たところで最近よく「野山の花アルバム」を見させていただき、丁寧な解説とそれに一致した写真(大変判り易い)に感心しています。
それにしてもテイショウソウって難しい名前ですね。(モミジハグマもハグマの意味が判らないと?ですが)植物は日常馴染みのない言い方のものが多く、時々音を上げますが属別に何とか覚えるようにしています。
まずはお礼まで。
HiroKen (日曜日, 25 12月 2016 02:50)
いつも初心さん、コメントをありがとうございます。
どのページにコメントを入れていただいても、問題ありませんよ。
このホームページは、野山の植物に興味を持ち始めた方を意識して作成しています。
解説はできるだけ平易にし、写真と一致するように心がけていますが、まだまだ改善すべき点があります。
いつでも気軽に遊びに来て下さい。